恋愛

非モテぼっちの俺がやけくそで女装したら、4人の女子から告白された件

言っとくがな、俺は元々女装癖はない。
恋愛対象は女だ。

そんでモテない。
これがもう悲しいほどにまったくもってモテない。

今からほんの1年前の、大学3年の時点で彼女いない歴=年齢というやつだ。

 

そんでな、思ったわけよ。

どうせ女からモテないんだったらさ、
俺が美少女になればいいんじゃねーの??

ってよ。いや馬鹿かよ。

 

どう考えても頭わいてるとしか思えないんだけどさ、
当時はなんかあまりにもモテなさすぎてかこれが本気でイケてると思ってたんだよな。

いや一応それなりに理屈もあって、まあ聞いてくれよ。
女装すれば、↓の問題が解決するじゃん???

  • 親とか友人から「彼女いないの?」と言われたときに「いるよ。この子」って言って自分の女装姿の写真見せる。完璧。
  • もし女装バレしてもさ、「彼女作らないの?」って言われても「俺よりかわいくない子には興味ないんだよね」って返せる。はいもう完璧。

そりゃもうするしかないよね、女装。みたいな。

目次

初めての女装。鏡の中に現れるクリーチャー。夢は儚く散る。

んですぐやったよね。

化粧品は姉のをこっそり拝借して、
髪だけウィッグ(※まあカツラみたいなもんだ)をAmazonでポチった。

 

いや自信はあったのよ。
元々ちょっと童顔だし、つか、化粧なんか顔に絵描くようなもんじゃん。

俺、絵うまいし。

 

で、自信満々で家に誰も居ないタイミングを見計らって女装したわけ。

したらさ、まあ、その、なんていうか貞子だよね。

しかも井戸から出て4秒後くらいのやつ。

 

でもまあせっかくだから、そのまま外出ちゃったんだよね。

やっぱりなんでも自己判断は良くない。客観的意見が大事だからさ。

 

したら通報された。

 

言い訳に「や、あの、これ、ユーチューブで動画あげようと思って、その、…………へへっ」って言った。そう言うしかなかった。

ウジ虫を見るような目で見られた。

 

それから3ヶ月後……

さすがに反省した俺は、化粧のやり方をググった。

女装メイクのやり方も検索した。お気に入りの女装男子も見つけた。ごちそうさまでした。

 

どうやら俺は化粧下地という、先に塗っておく必要があるものをやらずにファンデーションしてたらしい。

言うなれば、米に水を入れずに炊こうとしてたもんだ。

 

正しいやり方・適切な手順でやったら、とりあえずそれなりに見れるようにはなった。

これは料理で言うと、ちゃんとレシピ通りに作れば素人でもとりあえずまともな料理になるってところだ。

 

だからそれで学校行った。

 

女装して学校に行くの巻~!

でも安心してほしい。さすがに行くのは文化祭だ。もう俺は反省している。

文化祭のようなイベントでもないのに女装して行ったら、
それこそ片腕の一本ごときでは済まないことはわかっている。

 

そしてありがたいことに、うちの大学の文化祭はまあコスプレ大会みたいなもんだ。

俺ももう大学3年だが、毎年この時期にはガンダムとかルルーシュとかくまモンとかが歩いてる。

 

俺もそれに便乗して、女装するってわけ。天才だよな。

 

そうして完璧な女装姿で文化祭に乗り込んだ俺は、出会って5秒でアレすることとなる。

そう、同じ学年のちょっと気になってた子とばったり顔を合わせちゃった。はわわ。

 

――エミは一見すると今どきの若者のような、やや砕けた感じの見た目をしている。人によってはギャルと捉えるかもしれない。

しかし俺は知っている。エミはご飯を食べるときにしっかりと「いただきます」と言っていたり、教室のドアを空けたら必ず閉めていたり、ゴミが落ちていたら拾って捨てるような子だってことを。

エミはどうやら友達と回っているようだった。
だが問題はそこではない。

 

見られた。

――どうする? 消すか?

 

だがしかしエミは俺の大切な……

なんてパニクってわけわかんないことを考えてしまう俺。つか俺エミと会話したこと二回くらいしかないし。

 

あと現場には一応エミのほかにその友達のミサキ、リエ、アユミが居た。まあこいつらはどうでもいいわ。

だいたい名前出すだけでも光栄に思えよな。あんたらはこれから金魚の糞、いいかい、金魚の糞だよ!

 

それはさておき、すぐさま回避しなければ!

幸い今ならまだ少し目が合っただけ。この格好なら俺だと気づかれていない可能性もないこともなくはない……かな?

しかし顔を隠すために、下を向いてしまったのがいけなかったらしい。

 

エミの友達のミサキ……もとい、金魚の糞がなにやらこっちに近づいてきた。そしてジロジロ見てる!! なに!?!?!?

ミサキ「あの、アイプチにまつげ巻き込んでますよ~!」

なんだよ、ビビらせやがって。目、良いな。しかしさすがだ。

こいつはかなり人懐っこく、初対面の人にも物怖じせずに話しかけることができる。なんせ俺と三回は喋ったことがあるくらいだ。

「あ、ども~」「今日暑いですねー」「あの、アイプチにまつげ巻き込んでますよ~!」の3つだ。ちなみに今のやつもカウントに入ってる。

 

「あ、ありがとうございます」

俺は素直に礼を言った。しかしそれがいけなかった。

ミサキ「あれ? 男の人ですか?? アイメイク難しいですよね~」

ヤベーよ普通に喋っちゃったよ。女声なんてできねーよ。だがまだ俺だとは気づいていない!

 

ミサキ「……ん? あ、英語の授業でいっしょの人だ! 何のコスプレですか~??」

はいフラグ。

別に何のコスプレでもねーよ。

 

――ところでご存じだろうか。

実は女装をする人の目的で、意外とかなり上位に位置するのが「別の人格を持てるから」という理由であることを。

 

これは実際にやったことのない人にはわからないかもしれないが、
普段の自分とは完全に別の性別を演じることで、言動から立ち振る舞い、ともすれば思考までまるで違った自分になったと錯覚するのだ。

だからだろうか。

……あるいは、文化祭というイベントもまた、気を大きくさせた原因の一つかもしれない。
はたまた、慣れない女子との会話で緊張して頭がアガッていただけかもしれない。

ひとしきりミサキと会話した俺は、あろうことかこんなことを口走ってしまったのだ。

良かったら、みんなで俺と一緒にまわりませんか?

さあ、カーニバルの始まりだ。

ミサキ「あ、ごめんなさい。みんなで来てるので」

 

普通に断られた。

 

神よ。女神よ。

しかし奇跡は起きた。リエだ。

このなかではリーダー格っぽいリエが、あろうことかこう言ったのだ。

リエ「ウケるw あたしは別に良いけどww」

え? いいの??

ミサキ「あ~じゃあいっか!」

予想に反してリエがOKだったためか、ミサキもそう言った。

こうなったらすでに過半数がOKに傾いている。しかもリーダー格っぽいリエがOK派に属している。もはや結果は目に見えたことだろう。

 

そうして俺の青春は始まった。

 

そのまま俺たちは様々な出し物を回った。

ふつうならば女装してるよく知らない奴と一緒に回るなんて、彼女たちからすればありえないことだろう。
しかし、文化祭という特別な日常が、それを可能にしたのだと思う。

俺も男気を見せ、(女装してるのに)彼女たちに食べ物を奢ってあげたりした。(女装してるのに)

日が暮れる頃には、かなり打ち解けられただろう。

 

――例えば、みんなで劇を見た。

学生がやるような劇だから、たいそうなものではないけれど、
男女の恋愛をネタにした寸劇だったから、「俺は?(女装してる)」と言ったらめちゃくちゃウケた。

 

――例えば、みんなで絵を描いた。

みんなの絵を描いたら、思いのほか感動してくれたようで取り合いになった。結局みんなの分も描くことで決着が付いた。
言ったろ? 俺、絵うまいって。てか美術専攻だし。

 

――例えば、みんなでお化け屋敷に入った。

「なあ……幽霊とオカマ、どっちが怖いと思う??」って言ったら超ウケた。
俺オカマじゃないけどな!

 

アユミがミスコンに出たいと言い出した。
エミも一緒に出ようよとアユミに誘われていたが、エミはあまり乗り気じゃなさそうだった。

だから俺が出ることにした。

 

なんとネタ投票のおかげで3位に入賞してしまった。

…………さりげなく庇ったの、エミ、気づいてるかな?

 

秋の夕暮れ

とても楽しい一日だった。今日、勇気を出して本当に良かった。

けれど昨日と平等に日は暮れる。容赦なく。残酷に。

「楽しかったねー」と、誰かが言った。誰が言ったかは覚えていない。

しかし、次に言ったエミの言葉は鮮明に覚えている。

 

エミ「うん。去年のよりずっと楽しかった」

それは単に、文化祭が去年と比べてクオリティが高かっただけかもしれない。

でも、俺にはもう一つの可能性を信じずにはいられなかったんだ。

それだけで俺は、うれしかった。

 

でも、もう魔法は解ける。

帰りの電車を待つ。
来た。
一つ、駅が過ぎた。
そしてまた一つ、駅が過ぎた。

 

ああ、今日が、終わってしまう。

今日が終われば、もう、こんな奇跡は、二度と……

あのさ……

違う。

違うんだよ。

 

不細工なシンデレラ

今日があるのは、奇跡のおかげだけじゃない。

勇気を出して、誘ったからだ。

 

思い返せば、こんな勇気が出たのも、
女装して、普段の自分とは別の自分になりきれたからだ。

今までの自分とは違うんだって、そう思い込めたからなんだ。

とんだブサイクな、……不格好なシンデレラだよ。

 

だから。

だから!

俺は最後にまた勇気を振り絞って、ガラスの靴を残そう。

魔法が、解ける前に。

また!
明日もまた、朝の授業が終わったら、

……良かったら、お昼ご飯、一緒しても……いいかな?

今はまだ、これが精一杯だ。

受け入れてくれるかな?

 

すると、アユミがこう言う。

明日、日曜だよ

………………。

…………。

ウワッ、恥ずかしい。ウワッ。

 

そして

あれから半年が過ぎた。

あんな特別な日常は、もう二度と訪れないんじゃないだろうか。

けれどまあ、それでもいいやと思える自分がいる。

 

……だって、

リエ「ちょ! このあとカラオケ行かない??」

ミサキ「あ~、いいねー!」

アユミ「ご飯は?」

エミ「あそこ持ち込みOKだよ」

――俺グラタン食べたいんだけど持ち込めるかな?

エミ「それは諦めよう!w」

これが今の、俺の日常だ。

俺の普通の、特別じゃない日常があの日から変わった。

 

俺は今はもう女装はしていない。
する必要がなくなったからだ。

だけどあの日、女装を始めて本当に良かったと思う。

 

自分を変えられる最大の近道は、見た目を変えることだ。
見た目を変えれば、まるで自分でも別人になったかのように、積極的になれるんだ。

それから、女装を通して化粧について学べたことも大きかった。

 

スキンケアをするようになってから、肌も綺麗になったし、
女装のために眉を整えたら、見た目も良くなった。

ウィッグをかぶる邪魔になるからと、髪を切ったのも良かった。
それに、女の子の話題にもついて行けるから、格段と喋りやすくなった。

俺は。

女装を通じて、俺の人生を変えた。

 

ありがとう。女のふりした俺よ。

 

さいごに

そうそう、これは4人の女子から告白される話だったな。

全部のエピソードを詳細に書いていけば10万文字はくだらないだろうから、簡潔に書こう。

もしこれを読んでくれる人がいっぱいいれば、詳しく書こうと思う。TwitterやFacebookなどでお友達に教えてくれるとうれしい。

 

さて、

大学4年の夏くらいからかな。この子たち全員から、俺は告白されることになった。

びっくりだろ? あり得ないと思うだろ?

俺もそう思ってたよ。

 

でもな、この子達のグループに入ってから俺は、いろんな思い出を共有したんだ。

それから先も、いろんなことがあったんだ。

エミ以外の子たちも、ちゃんと話してみたらみんな良い子ばかりだった。

 

結局、俺が付き合うことにしたのは――――

 

 

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